養育費の履行勧告とは、養育費を受け取る側が、相手が約束通り養育費を支払わない場合に、家庭裁判所に対して「相手に養育費を支払うように促してほしい」とお願いする手続きです。
この勧告を通じて、裁判所は支払い義務のある相手に対し、正式な文書で「養育費を支払うように」と勧告を行います。
養育費の履行勧告の特徴
法的なお願いの手続き
履行勧告は、裁判所からの「養育費を支払ってください」という文書ですが、強制力はありません。
つまり、相手がこの勧告に従うかどうかは相手次第で、従わない場合でも直接的に罰則
があるわけではありません。
心理的なプレッシャー
それでも、裁判所からの正式な勧告を受けることで、相手に対して「法的な手続きが進行中である」という圧力がかかり、支払いに応じる可能性が高まります。
強制力はないものの、裁判所からの正式な文書でプレッシャーを与えることができます。
養育費の履行勧告の流れ
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1養育費が支払われていない
まず、養育費をもらう側が、相手から約束通りの養育費が支払われていないことを確認します。
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2家庭裁判所に申し立てを行う
養育費を受け取る側が、家庭裁判所に対して「履行勧告をしてほしい」とお願いするための手続き(申し立て)を行います。
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3裁判所から勧告書が送られる
家庭裁判所が、養育費を滞納している相手に対し「養育費を支払うように」と書かれた文書を正式に送付します。
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4相手が勧告に従うかどうか
相手がこの勧告に従い、養育費を支払うこともありますが、従わない場合もあります。
勧告に従わない場合でも、裁判所が直ちに支払いを強制するわけではありません。
養育費の履行勧告が利用できない場合とは?
相手の住所が不明な場合
履行勧告を行うには、相手の現在の住所が必要です。
もし相手の居所が分からない場合、勧告書を送ることができません。
このような場合は、まず相手の居所を特定するために調査を行う必要があります。
家庭裁判所を通さず養育費の取り決めをした場合
養育費の履行勧告は、裁判所で養育費の支払いが正式に決定されている場合に限ります。
もし養育費の金額や支払い義務がまだ決まっていない場合、まずは家庭裁判所で「調停」や「審判」を通じて、養育費の金額や支払い条件を正式に決定してもらう必要があります。