公正証書とは?
公正証書とは、公証人の権限に基づいて作成される公文書のことです。
養育費の約束を口約束だけでなく、公正証書にしておくことで、万が一支払われない場合でも裁判をせずに強制的に給料などから差し押さえることができる仕組みです。
養育費の公正証書はどこで作れるの?
養育費の公正証書は、日本全国にある「公証役場」で作成できます。
公正証書を作成する際、利用する公証役場は基本的には自由ですが、居住地の近くの公証役場を選ぶと便利です。
公証役場によっては、養育費に強い公証人が在籍している場合があります。
特に複雑な内容の公正証書を作成する場合、その分野に詳しい公証人がいる公証役場を選ぶと良いでしょう。
公証人とはどんな人?
公証人は、公正証書の作成や証明業務を行う法律の専門家で、重要な役割を果たしています。
公証人は、法的な知識が求められるため、裁判官、検察官、弁護士などを長く経験した人物の中から法務大臣によって任命されます。
養育費の公正証書を作るときに必要なものは?
- 印鑑登録証明書と実印
印鑑証明書は、発行3か月以内のものに限られます。 - 当事者の身分証明書
申請者(支払う側)と受取者(受け取る側)それぞれの身分証明書(運転免許証、パスポートなど)。 - 養育費の支払いに関する合意内容
養育費の金額、支払い方法、支払い期間などを明確にした内容のメモや契約書。 - 子どもの戸籍謄本
養育費を支払う理由となる子どもの情報を示すための書類です。
養育費の公正証書作成に掛かる時間や費用は?
公正証書は、作成を依頼したらその場ですぐに交付されるわけではありません。
全体として、事前相談から公正証書の作成、書類の準備まで含めると、1~2週間程度掛かる場合がありますが、混雑する時期によってはもっと時間が掛かる場合があります。
次に、公正証書の作成には費用が掛かります。
おおよそ1万~2万5千円程度が目安となることが多いです。
この料金は「養育費の総額」に応じて変わります。
養育費の公正証書に入れるべき内容は?
誰が誰に支払うか
- 養育費を払う側(支払う親)と受け取る側(子どもを育てる親)の名前と住所。
- 子どもの名前と生年月日。
支払う金額
- 毎月いくら支払うか。
- いつから支払いを始めるか。
- 支払いをいつまで続けるか(たとえば「子どもが18歳になるまで」など)。
支払い方法
- 支払いの頻度(毎月)
- 支払いの具体的な方法(銀行振込など)
支払いが滞った場合の対応
- 養育費が未払いになった際の対応として、強制執行ができることを明記します。
特別な事情が生じた場合の取り決め
- 収入が大きく変わった場合や、子どもの進学などで費用が変わる必要があるときの対応。
養育費公正証書の作り方の流れ
step
1お互いに話し合い、内容を決める
まず、支払う金額や期間について話し合い、お互いに納得して決めます。
養育費の金額は、裁判所が出している「養育費算定表」を参考にするとスムーズです。
この表を使うと、収入に応じてどのくらいの養育費が適切かがわかります。
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2公証役場に予約する
次に、内容が決まったら、公証役場に電話して予約を取ります。
予約の祭に、養育費の公正証書を作成したい旨を伝えます。
必要な書類や手続きについて詳しく説明してくれるので、何が必要か不明な点があれば積極的に質問しましょう。
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3公証役場に行って書類を作る
公証役場で、公証人という専門家が書類を作成します。
このとき、支払う親と受け取る親の両方が公証役場に行く必要がありますが、どうしても行けない場合は代理人を立てることもできます。
公正証書のメリット
公正証書にしておけば、養育費が払われなくなったときに、「強制執行」の手続きを行い、すぐに給料を差し押さえることができるので安心、後々のトラブルも防ぐことができます。
また、作成された公正証書の原本は、基本的に20年間公証役場で保管されるため、公正証書を紛失したり、盗まれたりしても、再発行が可能です。
公正証書を作らなかった場合のリスク
公正証書がない場合、養育費が未払いになった際には、まず裁判所に支払いを求める訴訟を起こさなければなりません。
これは時間と費用がかかるため、できるだけ公正証書で取り決めを行うことが重要です。