養育費を支払わない相手から適正な支払いを受けるための手段として「差し押さえ」があります。
養育費の差し押さえ手続きの流れ
まずは、相手が養育費を支払っていないことを確認します。
次に、養育費の支払い義務が明確になっている「債務名義」(例:調停調書や審判書、裁判所の判決書)があるかどうかが重要です。
この書類がない場合、差し押さえを進めることができません。
ココに注意
公正証書も債務名義に該当しますが、『執行受諾文言』(滞納時に強制執行を受けることに同意する文言)が付されていない場合、直ちに強制執行手続を行うことはできません。
内容証明郵便で支払いを請求
未払いが確認されたら、まず相手に正式な形で支払いを促す必要があります。
その手段として、法的証拠として使える「内容証明郵便」を送ることが効果的です。
内容証明郵便に記載すべき内容
- 未払いの養育費額と支払期日
- 支払いを求める期限(一般的には2週間程度)
- 支払わなければ法的措置を取る旨の通知
強制執行の申立て
相手が期限までに支払いを行わない場合、裁判所を通じて強制的に支払わせる「強制執行」を申立てます。
これは、相手の給与や預金、場合によっては不動産などの財産を差し押さえる手続きです。
強制執行に必要な書類
- 債務名義(養育費の支払いが定められた裁判所の判決書や調停調書など)
- 相手の財産に関する情報(給与が差し押さえ対象の場合、勤務先の会社名や住所。預金口座なら銀行名、支店名など)
差し押さえの実行
裁判所が強制執行を認めると、次に実際の差し押さえが行われます。
一般的には相手の給与や預金口座が差し押さえ対象になります。
特に給与の場合、毎月の収入から一定額が養育費として差し押さえられます。
差し押さえの対象となるもの
- 給与
法的に保護される最低限の生活費を除いた部分が差し押さえの対象となります。 - 預金口座
相手の預金口座の残高に対して差し押さえが行われます。 - 不動産
場合によっては相手の所有する不動産が対象になることもありますが、これには別の手続きが必要です。
ポイント
通常、給料債権の差押えは給料の手取り額(税金や社会保険料等を控除した後の金額)の4分の1までというのが原則ですが、婚姻費用や養育費の場合には2分の1まで差し押さえることが可能です。
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